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1 システム概要

 このシステムは多くの候補があるなかで、条件を提示することにより最適なも
のを選び出したり、条件にどれぐらい適しているかを数字で表現して、利用者に
判断材料を提供します。

 方法はいくつかの質問を実施して得た回答(条件)に判断基準のスコア値を
つけて、各候補が持っているスコアと乗算して、候補毎にその和をとります。
その数字をもって、一連の回答に対する適応度をあらわすます。

 このシステムを利用するには、判断基準、質問と回答、回答の判断基準に対
する重み、各候補が判断基準に対して持つ重みといったデータを準備する必要
があります。
 わかりやすく質問者に最も適した旅行先を選ぶケースを例にとって、データ
とその処理法について説明します。

1−1 データ説明
 1−1−1〜1−1−3は予め準備するデータですが、質問を実施して得ら
れる回答1−4とあわせて計算ができます。

1−1−1 着眼点
 重視する事柄をしめして、たとえば”日数が短いこと”、”長いこと”、
 ”海がきれい、”買い物にいい”なんかがあります。
 評価指標、着眼点といった呼び方のほうがあってるとおもうのですが、この
 システムではスコアと呼びます。
 各リゾート、回答はこのスコアに対応したスコア値をもっています。
 データ構成
 1)番号   識別する番号
 2)説明   重視することがらの説明文

1−1−2 リゾート
 候補のことですね。
 候補としての名前・説明および、スコア・スコア値のペアの配列(集合)を
 もっています。
 データ構成
 1)番号  識別する番号
 2)名前  リゾート名前
 3)説明  リゾートの説明文
 4)スコア・スコア値 配列(1個以上の集合)
  4-1)スコア番号 1のスコアの番号に対応
  4-2)スコア値  上記スコアに対するこのリゾートのスコア値

1−1−3 質問 
 質問とそれに対する回答の配列(2個以上の集合)、個々の回答に付随する
 スコア・スコア値のペアの配列(0個以上の集合)でできています。
 1)番号 識別する番号
 2)質問文 質問内容
 3)回答
  3-1)回答番号
  3-2)回答文 質問に対応した回答文
  3-3)スコア・スコア値 配列
   3-3-1)スコア番号 1のスコア番号に対応
   3-3-2)スコア値  上記スコアに対するこの回答が持つスコア値

1−1−4 回答
 どの回答を選択したかというデータです。
 1)回答番号 3の回答内に対応した番号
 2)選択番号 選択の有無、現バージョンでは1のみです。

1−2 データ例
 具体的なデータで説明しますが、この例はわかりやすく説明することを目的と
していますので、実際のデータとしては有用でない部分もあります。

1−2−1 スコア
 +−−+−−−−−−−−−−+
 |番号| 説明       |
 +−−+−−−−−−−−−−+
 | 1|日程が短い     |
 | 2|海がきれい     |
 | 3|現地物価が安い   |
 +−−+−−−−−−−−−−+

1−2−2 リゾート
 +−−+−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 |番号| 名前   | |スコア値群{スコア番号:スコア値} |
 +−−+−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 | 1|グアム   | |{1,11},{2,5},{3,2}         |
 | 2|沖縄    | |{1,12},{2,12},{3,2}         |
 | 3|タヒチ   | |{1,4},{2,12},{3,1}         |
 | 4|江ノ島   | |{1,15},{2,1}            |
 +−−+−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 リゾートの説明は省略してます、スコア値の最大値は15です。
 江ノ島を例にとると、
  ”日程が短い”に最大値15を持ち、”海がきれい”については1点のスコア
  値をもっています。

1−2−3 質問・回答
(単一選択)
 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 |番号| 質問文                       |
 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 | 1|何日間旅行したいですか?               |
 |  +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 |  |回答候補                       |
 +−−+−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+
 |  |番号| 回答文         |スコア値群     |
 +−−+−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+
 |  | 1|日帰り          |{1,15}       |
 |  | 2|2泊3日         |{1,10}       |
 |  | 3|4泊5日         |{1,5}        |
 |  | 4|10日まで        |{1,1}        |
 +−−+−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+

(複数選択)
 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 |番号| 質問文                       |
 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 | 1|どんな旅に何がいいですか?              |
 |  +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 |  |回答候補                       |
 +−−+−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+
 |  |番号| 回答文         |スコア値群     |
 +−−+−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+
 |  | 1|とにかく手軽で安い    |{1,12},{3,7}    |
 |  | 2|きれいな海がみたい    |{2,15}       |
 |  | 3|たくさんおみやげを買いたい|{3,10}       |
 +−−+−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+
  "とにかく手軽で安い”を例にとると
  ”日程が短い”に対して12、”現地物価が安い”に対して 7ののスコア値
  をもっています。

 上記のようなデータがあり、質問を実施し以下の回答が作成されます。

1−2−4 回答
 +−−−−+−−−−+−−−−+
 |質問番号|回答番号|選択番号|
 +−−−−+−−−−+−−−−+
 |   1|   3|   1|
 |   2|   1|   1|
 |   2|   2|   1|
 |   2|   3|   1|
 +−−−−+−−−−+−−−−+
  つまり、質問1の回答3”4泊5日 ”、
  質問2の回答1,3”とにかく手軽で安い”、”海がきれい”、”たくさん
  おみやげを買いたい”のすべてが選択されています。
  ※選択しなかったデータは作成されません。

1−3 データ処理

 2のデータをもとに最適解を得るために計算例を説明します。

 回答内容と各リゾートのスコア値を乗算し、合計をリゾート毎に算出する。
 詳細をグアムを例にとって説明します。

 回答1−3はスコア1に対しスコア値5を持っている。そこでグアムのスコア
   1に対するスコア値を見ると11をである。よって
    5*11=55 となる。
 以下同様に計算します。

 回答2−1はスコア1に対しスコア値12を持ち、グアムは11を持つので、
    12*11=132
 回答2−1はもうひとつのスコアをもっている。スコア3に対してスコア値7
   グアムのスコア3のスコア値は2
     7* 2=14
 回答2−2はスコア2に対しスコア値15を持ち、グアムは5を持つので、
    15* 5=75
 回答2−3はスコア3に対しスコア値10を持ち、2を持つので、
    10*2=20

 合計 55+132+14+75+20 = 296
 
 296は回答内容に対するグアムのトータルスコアとなります。

同様に全リゾートに対して計算をおこないます。
 
スコア計算表
 +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+
 |リゾート|回答毎スコア               |   |
 |    | 1-1 2-1   2-2 2-3            | 合計|
 +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+
 |グアム | 5*11 + 12*11 + 7* 2 + 15* 5 + 10* 2   |296|
 |沖縄  | 5*12 + 12*12 + 7* 2 + 15*12 + 10* 2   |418|
 |タヒチ | 5* 4 + 12* 4 + 7* 1 + 15*12 + 10* 1   |265|
 |江ノ島 | 5*15 + 12*15 + 7* 0 + 15* 1 + 10* 0   |270|
 +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+

で沖縄が最大値をとっており、システムはこの質問、回答結果より最も最適な候
補として沖縄を提示したといえます。

 これがこのシステムの基本動作です。
 ※このデータをDB化したサンプルは付録−1にあります。

1−4 システムの適用範囲、利用法について

 スコア、質問、候補、質問・候補に付随するスコア値の5つのデータベース
を準備すれば、質問を実施し、その回答内容によりスコア計算をおこなう。
回答にもっとも適した候補を提示したり、あるいは候補毎のスコアを提示する
ことができます。
 候補の説明文をつけて提示すれば、より具体的で広い情報提供ができ利用者
の判断材料になるでしょ。
 ここでは、”リゾート選び”を例にあげていますが”評価指標”があり、各
候補、質問にたいする回答に、その指標に対する重みずけができるのであれば
データ内容により多くの選択に適用できます。
 リゾートと類似したシステムとしては、たとえば特定のリゾート地におけるホ
テル選びなどが考えられますし、、パソコンの機種選定、ある地域におけるプロ
バイダ選択など多種・多様なシステムが考えられます。
 利用者としては、関連する分野にほとんど知識がなくても、希望する事柄さえ
もっていれば、希望にそったものは何かという情報が得られます。
 ただし、いずれの場合も個々の要素に適切なスコア設定がなされていなけば、
適切な結果は得られないでしょう。
 候補範囲をどう設定するかも大切です。ここの例では”ビーチリゾート”と
していますが、”新婚旅行先”やたんに”旅行先”といった範囲も考えられま
す。
 最も重要なことは、このシステムは絶対的な回答を提示するシステムではな
いということです。どんなにデータを大量に適切に設定したとしても、必ず真
の最適解を提示できるシステムにはなりえません。
 多くの情報(候補)のなかから、より適切な情報を選択するツールとしての
利用がいいでしょう。

 ”1番だったリゾートにいったけど楽しくなかった”
 ”コンピュータ管理されていて間違いはないはず”
 なんてね。ないですね

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